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矢代夕稀、天性のアーティスト

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「アーティストは探求する。目的を達成するためには通る道を選ばない。一方職人というのは、自分の知っている物事にたどり着くためにあらかじめ知っている道を選ぶものだ。」ピエール・スーラージュがこの短い文章のなかで示した意味で言えば、矢代夕稀はアーティストだ。純粋で、野性的で妥協を知らない。彼女が使うマチエールのように、彼女が作品に映し込んで行くエモーションのように、彼女の微笑みと華奢なシルエットとは裏腹に持っている強さのように。

生い立ち



矢代夕稀は80年代始めに岡山で生まれる。ギャラリーを営む母親のもとで、芸術的な環境のなかで感受性や色彩、文化、伝統の世界で育つ。かなり若いうちにアーティストたちから声をかけられ、エゴン・シーレやピエール・ボナールの用いた技法を学び始めると同時に、ピカソやマチスのしていたボヘミア的な絵画につかった生活をし、パリに惹かれ、フランスにインスピレーションの源を求めるようになった。矢代夕稀はそのときすでに全身を崇高な意味でアートに向けていた。絵画、彫刻、デッサンのどれかを選ぶ必要もなかった。アートはそのまま全てが彼女にとってしっくりくるものであった。

矢代夕稀の「世界」



 13歳になったときにはすでに最初の作品を手がけていた。絵画、デッサン、彫刻も、しっかりとマチエールを学ばなくてはいけないような、それぞれが全く違う技法(水彩画、油絵、木炭画、鉛筆、木版画、彫刻画、墨、パステル)を使って試した。美術のなかではどれかを特別選ぶことはしなかった。逆にそれぞれの練習にある制約によってそれぞれの違いを学び、絶えず献身的に技法から学んで進歩しようとした。

 それこそ、彼女の初期の作品から見られる顕著で強い特徴といえよう。自分の作品を完全で複雑な取り組み方にし、それと同時にマチエール、色彩、厳選されたテーマを使って戯れようとしている。矢代夕稀はキャンバスを埋め尽くそうとはしないし、マチエールを変化させるために彫刻をしたりはしない。彼女が技巧を絶えず習熟し、熟達しようとしているのは、自分の感情や感動、苦しみなどをアートという形に自由に移し替えるためなのである。

木版画、絵画、彫刻・・・



・・・矢代夕稀はマチエール、材料、感動と戯れる

 力強さとしなやかさ、忍耐強さと正確さ、そして作品の見方が同時に求められる技法である木版画は彼女の特に好きな分野であり、かつて20世紀の初頭にはタブロイド版や風刺画家たちから好んで使われたこのテクニックを、日本から特殊な紙を輸入して現代風に仕上げている。

 彼女にとって特別な秘密はない。油絵、鉛筆画、水彩画、パステル、木炭画を木版画や銅版画や彫刻に加えて取り組んだ。矢代夕稀は自分の作品の全ての面に区別することなく働きかけ、感じるのが好きだ。作品を色彩や黒や純粋な白の爆発をさせながら活気づける。

用意された道から外れて



 豊かで、強く、複雑で包括的な彼女の作品が表すように、喧噪の多い道からそれて横道に進み、自分で道を切り開こうとする矢代夕稀は比類のないアーティストであろう。もっと容易な道を選ぶこともできたはずである。日本で美術の学校に入学するとか、親たちの力を借り実家のギャラリーで個展をし、出身地で若いアーティストとして出発することもできたはずだ。だが、彼女はリスクを冒しても独立して新たな感動や新しい世界や新しい芸術的アプローチを開拓するほうを選んだ。彼女は完璧を目指したからこそ、より困難な道をどうしても選んだのである。

 パリに移ってから3年ほど経ち、作品もかなり成長した。パリの世界的に有名なムーラン・ルージュを何度も訪れ、まったく特別な版画のシリーズに取り組みたいと思うようになった。大変複雑な技法をマスターした彼女の独立性と視点の力に裏付けられ、舞台でスペクタクルをするアーティストたちの苦しみや仕事や厳しさがぶつかり合う世界を表現している。2008年には大阪のギャラリーら・む〜にてムーラン・ルージュをテーマにした展覧会を開いた。

 テーマと技法が欲望やインスピレーションと混じる。ヒョウ、トラ、シマウマが版画やデッサンに、芍薬やスイカが油絵に、ヌードと静物画はパステルで、ときには鉛筆で、または墨で、というふうに。矢代夕稀は、楽しみ、驚き、意表を突き、我々を魅了し、高め、夢中にさせる。彼女の手腕とその妙技によって、その作品には彼女自身が込められていると同時に、我々自身の一部も込められているのだ。

 もし「芸術のない世界は盲目の世界である」とすれば、矢代夕稀の作品を通して、彼女の才能によって我々の目は少し光の方に導かれるだろう。「呼吸をするように、わたしはアート、特に絵で感動を表現せずには生きて行かれない。常に本能的に必要なのです。」矢代夕稀

この作家の賛美者、ステファン・ファルゲット

2008年 京都造形大学 芸術学部 美術工芸学科 洋画、木版画 卒業
2006年 Académie de la Grande Chaumière(仏)
2007年 Atelier 63 (版画工房、仏)

2004年 第5回(京都造形大学・東北工芸大学)
デッサン・ドローイングコンクール展 テーマ自然 入選
2005年 第6回(京都造形大学・東北工芸大学)
デッサン・ドローイングコンクール展 テーマ不自然 特別賞
2007年 第4回棟方記念版画大賞展 入選
2008年 国際芸術交流展 奨励賞
2011年 グランパレ展 ART-EN-CAPITAL 入選
2012年 ブロンズ賞 パリ ルーブル美術館 カルセル ドゥ ルーブル展 (仏)
2014年 銀賞 パリ ルーブル美術館 カルセル ドゥ ルーブル展 (仏)

2005/4/1〜4/7 個展 "片歌〜エサンスは雪が溶けない"
2006/7/30〜8/5 個展 版画展 "service gratuit 0.0.0"
2008/2/5〜2/10 展覧会 30x30(京都造形芸術大学 美術工芸 版表現)GALLERY恵風
2008/2/27〜3/2 卒業制作展覧会 (京都造形芸術大学)京都市立美術館
2008/3/8〜3/14 個展 "Moulin Rouge" ギャラリーら・む〜
2010/11/19〜11/21 展覧会 Laudun l'andoise salon des arts 2010 南仏 LE FORUM - LAUDUN L'ARDOISE
2011/11/22〜11/27 グランパレ展 ART-EN-CAPITAL
2012/01/27〜02/09 展覧会 N.A.C 30周年記念展 2012 日本文化会館 (仏)
2012/12/13〜12/16 SNBA カルセル ドゥ ルーブル展 ルーブル美術館 (仏)
2013/01/22〜01/29 展覧会 ギャラリーら • む〜(大阪)
2013/12/12〜12/15 SNBA カルセル ドゥ ルーブル展 ルーブル美術館 (仏)
2014/10/23〜10/26 展覧会 Grez-Sur-Loing (仏)
2014/12/11〜12/14 SNBA カルセル ドゥ ルーブル展 ルーブル美術館 (仏)
2015/02/11〜02/25 展覧会 N.A.C  日本文化会館 (仏)
2015/02/20〜02/22 Japan Tours Festival (仏)
2015/07/31〜08/02 展覧会Echall’art echallant (仏)
2015/12/17〜12/22 SNBA カルセル ドゥ ルーブル展 ルーブル美術館 (仏)
2016/09/15〜09/18 展覧会BERLINER LISTE 2016 ベルリン(独)
2016/12/08〜12/11 SNBA カルセル ドゥ ルーブル展 ルーブル美術館 (仏)
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